先日、20名ほどの高齢者の前でお話しする機会がありました。
順番に話すのですが、テーマは何でもOKです。
そのときに、私が話したことをここに残しておきたいと思います。

私が、今の土地に来たばかりの頃の話です。
私は、今から28年前の1998年に、夫の仕事の都合で、0歳の娘と夫と3人で、この街に引っ越してきました。
それまでは関東のS市に住んでいました。
この街のことは、名前も聞いたことがありませんでした。
新居は、○町の小さなアパートでした。
町の最初の印象は、とても静かなことに驚きました。
日中でも人通りがなく、それまで住んでいた賑やかなところとは、かなり環境が違っていました。
また、それまでは、実家や親戚などを行ったり来たりしていたのですが、こちらには知り合いが全くいませんでした。
引っ越したばかりのころは、あれこれと忙しくしていたのですが、落ち着いてくると、まわりに人がいない環境に、だんだん気持ちが沈んでいくようになりました。
毎日、子供と二人きりで家の中にいるよりも、外に出た方が気分が晴れるので、子供を連れてよく散歩に行きました。
学校の前の、噴水のある公園が近かったのでよく行ったのですが、誰も来なくて寂しかったことを覚えています。
その公園にいると、角の酒屋さんのおばさんが、たまに声をかけてくれました。
「いいお天気ねー」とか「散歩してるの?」とか、ほんの短い会話でしたけれども、その短い会話で、私は気持ちがフッと軽くなりました。
酒屋さんに買い物に行った時には「大変ねー」などとも言ってくれました。
本当に大変そうに見えたのかもしれませんが、その時の私には、とても心に沁みました。
今も、その酒屋さんの前を通ると、そのおばさんのことを思い出します。
しばらくして、近くに子育て支援センターができました。
私は、そこに通うようになり、友達もできて、もう気持ちが沈むようなこともなくなりました。
現在は、酒屋さんも閉店し、子育て支援センターもありません。
あの頃、初めての土地で、ひとり不安げに育児をしていた私の心を軽くしてくれたおばさんや先生にお会いすることはできませんが、私も、人の心をフッと軽くできるようなおばちゃんでいたいとおもいます。
と、まあ、こんな話をさせていただきました。